会社が破産した時、聞きなれない言葉や様々な人物が登場してきます。
初めての事で分からない言葉も多いと思いますので、このブログ内でもよく出てくる言葉や人物を簡単にまとめてみました。
1:登場人物
まずは、破産に関わる人物です。
債務者
債権者に何らかの行為をする義務(債権)がある人・法人。
「借入金の返済」、「家賃の支払い」、「物品の購入代金の支払い」、「給与の支払い」、「物品の提供」等、債務を尾行する義務のある「人・法人」にあたる方は債務者と呼びます。
債権者
支払いを受ける(資産を預けている)法人・個人
債務者に対して金銭の請求を行う事が出来る人・法人のこと。
債権を受ける権利のある人で、債務者と逆の立場にある人です。
申し立て代理人
破産する経営者が自ら選んで委任する弁護士であり、自分の代理人弁護士。
裁判所へ自己破産の手続きを代理で依頼したり、介入後は初めに債権者との間に入って取り立てや、通知等対応をしてくれます。いわゆる味方の弁護士でもあります。
私の場合は、申し立て代理人弁護士とその他に補佐役として2名の計3名の弁護士が就きました。そのうちの日々の打ち合わせや、提出資料内容についての問い合わせなどは主に補佐役とやり取りが多く、節目節目で申し立て代理人が出席する事がほとんどでした。
破産管財人
裁判所から任命され、破産する法人・個人の資産を管理・調査・現金化し、債権者へ配る弁護士。
「敵」というイメージがありますが、立場の基本は債権者と債務者の中立的立場。
債権者に対して資産の保全・現金化を行い配当を行う事や、債務者の今後の生活の為に自由財産の拡張依頼があった場合、裁判所へ意見陳述をしてくれます。
私の場合は、破産管財人と補佐役の2名の計3名の弁護士が就きました。(申し立て代理人の数と同人数になりました。)
※申し立て代理人と破産管財人は会社の規模・複雑性によってこのようにチームを組まれることが多い。
2:用語
弁護士介入
申し立て代理人が債権者との間に入り、債権者へ告知書を送付します。おおまかに、代理人となりましたので債務者への直接の連絡はしない様、伝えてくれます。
破産手続き開始の申し立て
債務者の「自己破産手続き開始」を裁判所へ求める申し立て手続き。
支払が出来ない状態になっても、何もせずに破産手続きが始まるわけでなく、申し立てを行う事で破産手続きの開始を求める事が必要です。その後要件を審査して「破産手続開始決定」へと続いていくことになります。
申し立て日
破産手続きの申し立てを裁判所に手続きをした日ですが、事業を停止した日を指すことが多いです。いわゆるX-DAY。
また、事業を停止した旨を債権者に告知する日であったり、弁護士が介入した日を同日となる事が多いです。
破産手続き開始決定
以前は「破産宣告」と呼ばれていました。
表現がキツイ為名前が変わったそうです。
破産手続き開始の申し立てを裁判所が受理し、要件を審査します。
要件を充たしていると判断をされた場合に、裁判所から「破産手続開始決定」を発せられ、自己破産手続きの正式な開始となる。
「この方は破産したので財産を破産管財人が現金化して皆様に配る手続きをしますよ」、的な感じ。この時点で法人・個人の資産は破産管財人の管理下に入ります。
免責
法的に借金がチャラになる事です。
破産手続きが終了しただけでは債務者は債務の返済義務を免れる事は出来ません。
この義務を免れるためには、債務の支払い義務を免除する決定を裁判所からもらわなければなりません。その手続きの事になります。
免責によって債務者の経済的な立ち直りを助ける制度。
非免責債権
負債が免責された場合でも、特定の債務は免責されないものがこれにあたります。
税金、故意や悪意で与えた不法行為に基づく損害賠償請求権、慰謝料、養育費、罰金、債権者名簿に故意に記載しなかった債権等。
債権者集会
破産管財人が債権者に対し、地方裁判所にて、裁判所の管理下のもとに定期的(約3ヶ月に1回)に開催される集会。
私の場合は、破産手続開始決定の通知が債権者に届いたと同時に、債権者集会の日時が決まっていました。
出席者
1.破産者(債務者)
2.代理人弁護士(申し立て代理人)
3.破産管財人
4.裁判官
5.債権者
実際は、債権者の出席は多くないとの事がネット上で多く見かけますが、個人の自己破産の場合はそうかもしれません。法人が破産した場合の、特に1回目は多くの取引先や金融機関が出席する事が多いそうです。
※私の場合は、この記事を書いている段階ではまだ債権者集会が開催されていませんので、自分がどうだったかは後日ご報告いたします。
内容
破産手続き開始決定が出されると、破産管財人が選任されます。
管財人は、債務者の資産や債務の状況を調査・換価していく事になります。
その進捗状況や調査結果・配当の見込み等を報告し、債権者はそれらの内容で不明点があれば質問が出来ます。
実質は質問はほとんど無く、淡々と説明が終わり、時間は15分程度で終わることが多いそうです。
未払賃金立替制度
会社が倒産したことにより、労働者が賃金未払いの状態のまま退職を余儀なくされた場合に、独立行政法人である労働者健康安全機構が、その倒産した企業に代わって労働者に対して未払の賃金の一部を支払う公的制度。
※実際に会社が倒産した場合は賃金が未払いのまま解雇されることが多いです。
労働者側で手続きが出来ますが、会社で書類の作成・提出する事が通常です。
私の場合も、書類作成をしてから破産管財人経由で提出しました。
要件
・事業主が破産、民事再生、特別清算等や、事実上の倒産状態である事について労働基準監督署長の認定があった事。
・事業主が、労災保険の適用事業者をして、1年以上の期間にわたって労働者を使用して事業を行なっていたこと。
・未払いがあった期間中に、事業主に雇用され、労働基準法上の労働者として勤務していたもの。
・事業主が破産、民事再生、特別清算等や、事実上の倒産状態である事について労働基準監督署長の認定の申請前6か月前の日から2年間以内に退職したものであること。
・その賃金が定期賃金・退職金であること。
・退職日の6か月前から立替払請求日までの間に支払期日が到来する未払賃金である事。
・未払額が2万円以上であること。
などなど、色々とあります。
注意点としては解雇予告手当、賞与、福利厚生費、通勤費は含まれません。
そして、支払い額は未払額の8割です。
役員報酬
取締役の役員報酬については対象外であり、他の一般債権と同様に扱われます。
また、取締役でもない家族従業員がいる場合も注意が必要です。
‟事業主の居住及び生計を一つにする同居親族は原則労働者に該当しない”と定められています。
認められるためには、事業主の指揮命令にしたっがている事が明確であり、他の労働者と就労実態が同様であり、賃金もこれに応じて支払われている事が条件となります。
予納金
破産手続きをする際に、裁判所に支払う費用の事。
実際、この費用の大半は破産管財人の報酬に充てられるそうです。
金額は会社の規模や、複雑性によって変わっていきます。
よくネット上に、倒産時の費用で調べると弁護士費用が記述や質問をされている事が多いですが、予納金と弁護士費用に2種類の費用が掛かるので注意が必要です。