倒産体験日記

倒産社長のリアル体験日記

倒産当日までの心境と取り立て

心境

①破産を決めるまで

倒産の決断をする事の難しさは連帯保証人なっている社長でしか理解できないと思います。

会社の倒産(破産)=社長自身の自己破産

この呪縛がある限り、常にこの恐怖は付きまとっています。

コロナによる公的な支援や金融機関からの借り入れ等をする場合は、「資産の所有やお金のやり取りに関して法人と経営者個人が明確に区分・分離している事」、とよく目にします。

しかし、倒産となると経営者は会社の連帯保証人となっている事が多い為、結局は一心同体です。

「支援制度を使う際は明確に法人と個人は線引きをされ、倒産したら一緒に破産」これが現実です。

私が決断をした一番のきっかけは、「破産の費用が出せなくなる。」これです。

それまでは、どんな苦しくても「来月こそは!」、「保険を解約して補填しよう」、「個人の資産を入れよう」、「支払いを少し少なくしてもらおう」など何とか延命措置をしていました。

それでも、もうどうにもならない時が訪れます。

一般的にはこの毎月の支払いが迫る、支払いや給与が遅延してくる、この段階が精神的に一番つらい時期なのかもしれません。

給与を払ったら、もう残高が無い…。

従業員の事を考えていない自分勝手な考えかもしれません。

しかし、今月給与を支払えても来月は確実に支払えない状況です。

しかもその時には、破産に掛かる費用の支払いも出来ません。

この状況を冷静に判断できたからこそ、決断できました。

②破産を決めてから

もう覚悟は決まりました。

ここからは、破産申し立ての期日に追われる日々です。

実質、決断してから2週間程しかありません

膨大な資料を集め、それをスキャンしメールで弁護士へ送る日々です。

この時が一番アドレナリンが出て死に物狂いでした。

もちろん、倒産は初めての経験でリアルな体験を聞く事も多くはありません。

初めての言葉、作業、今後の収入、自宅、車、妻の今後とその財産、子供達の転校、家財道具、生命保険、不安な事は次から次へと頭の中に浮かんできます。

私の場合はこの時期が一番苦しい時だったと思います。

しかし、代表取締役として最後の大きな決断と責任を負う覚悟を決めたのです。

自分自身に、「お疲れ様でした」と言ってあげましょう!

取り立て

一般的に会社が倒産する数カ月前から、様々な取引先に対して支払い猶予の依頼や遅延、給与の未払いが起きている事が珍しくありません。

そして直前にはほとんど支払いを止めていて、支払催促の電話・封書・訪問があり精神的にも辛い状況になっている事と思います。

私の会社は全くの逆でした。

支払の遅延が起きる前に破産申請をしたのです。

支払いを遅延していたのは、銀行融資のコロナ特例リスケ・社会保険料の換価猶予申請・消費税の分納とコロナウイルスによる影響を受けた事業者に対する公的な支援を使っていた分だけです。

給与についても一度も遅延や減額で支給したこともなく、従業員もコロナで売上が下がっていても、そこまで危機感は感じていなかったと思います。

取引先からは、毎月の支払額が若干少ない程度でした。

それでも、他社よりは支払いが良いと言われるほど業界自体は大変な状況です。

なので、社内・社外から取り立て等は全くありません。

そう、取り立てが怖くその前に破産という手続きに逃げたのかもしれません。

自分が真面目過ぎたのか、支払いが出来ない状況になっても良い意味で開き直っている経営者もいると聞きます。でも私には出来ませんでした。

なので、資金が足りない状況になってすぐ覚悟を決めたのです。

今後のブログで記述しますが、全く倒産の兆候が無かった事が逆に大騒ぎになる事となります。