倒産体験日記

倒産社長のリアル体験日記

破産決断前や直前にしておくと良い事など~法人

破産手続きを進めていく中で、事前に準備をしておけば良かったと感じたことをまとめました。この記事は特に会社の手続についてまとめています。

X-DAYは債権額が一番少ないタイミングで

「破産のタイミング」。これは会社の現金が無くなったり、支払いが出来なくなるタイミングの話ではなく、債権額が少ない時期についてお話しします。

私の会社は小売業であり、時季によって繁忙期と閑散期がはっきりしている業種でした。

繁忙期→取引額増

閑散期→取引額減

当然ながらこうなります。

私の場合は1か月早く倒産の決断をしていれば、取引先の被害が大きくならずに済んだのです。

「破産の決断」は以前にお話ししたとおり、なかなか冷静には考えられないと思います。しかし、‟破産”の文字が現実的に頭を過ぎった場合はそのタイミングによっては、取引先の恨みを小さくできる事も出来ます。

キャッシュばかりではなく、このタイミングも見極めてX-DAYを設定しましょう。

取引先の担当者を把握しておく

破産手続きを進めていく中で、申し立て弁護士から依頼される準備書類に「債権者一覧表」があります。

私はエクセルで表にして作成しましたが、債権者名・郵便番号・住所・TEL/FAX・債権額・担当者の記載を求められました。

破産申し立てや、破産手続き開始決定の通知書は会社あてに送付されるため特段、担当者名は重要ではありませんが、その後の破産管財人が債権者と債権について連絡を取るときに必要になります。

ある程度把握しておかないと、その度に管財人から連絡が来て大変な場合もあるので、再度、取引先担当者一覧表は確認しておくとよりスムーズに進むと思います。

会社と会社の取引には、仕入先・出店先のテナント・各種の業者など様々な業態の会社があり、担当部署の社員がそれぞれ担当者と業務取引をしています。

取引先によってはコロコロ担当が変わる場合もあるので、常に担当者のアップデートしてあるか確認しておくと良いと思います。

従業員の退職手続き書類の準備

会社が破産した場合も通常時と同様に退職にまつわる書類作成を会社が作成・提出しなければなりません。雇用保険や社会保険の資格喪失届、住民税の異動届など従業員数に比例して作業は膨大に増えていきます

私の会社は社労士に依頼をして入退社の手続を行っていました。

しかし社労士への報酬も債権となっていましたので、この手続きはお願い出来ません。なので、自分でやるしかないのです。

弁護士事務所へ相談に行き破産の決意を決めたら、申し立て代理人弁護士からはX-DAYまでに準備する膨大な資料作成の依頼があります。

その中には、従業員の退職に関する書類がありませんでした。

私の場合は弁護士からX-DAYまでの日数が少なく申し立てに必要な書類のみでしたが、ある程度ゆとりがある方は、退職に関する書類を作成しておく事でその後の手続きも少しは楽になると思います。その中でも特に、雇用保険の離職票です。

氏名・住所・保険番号・賃金支払い対象期間や賃金額、タイムカードの履歴や記入箇所等が膨大にあります。

従業員の失業保険のスピーディーな申請にも必要になるので、事前に準備しておくと良いと思います。

書類整理

あえてここで触れる事でもありませんが、各種契約書やリース物件一覧、旧通帳や雇用契約書に労務規定など社内・社外と結ぶ契約関係の書類は常日頃から整理整頓が必要です。

案外とあちこちの書庫に入っており、いざ探すとなると時間が掛かる場合があったり、どの契約書があったか忘れている事があります。

破産手続きの申し立てをする際は、全ての契約書や労務関連書類等、膨大な量の提出物を弁護士に渡すことになります。保存場所などは再度確認しておくと良いと思います。

特に私の場合は2代目・両親が急死した為に先代からの契約書等あるか無いかを聞く事も出来ず、把握するのにも大変でした。

細かい取引は停止しておく

小口の取引は事業を営んでいる以上常にあると思います。

小口で取引額が少なくても、破産申し立てをした段階で債権者となります。

債権者数が多ければ多いほど、債権者一覧表の作成の手間や対応が増えていきます

普段と変わらない業務で、社内と社外に感づかれない様に破産申し立ての準備が必須になりますが、業務に影響がない範囲で細かい取引は止めておくと後の作業の軽減にもなります。