倒産体験日記

倒産社長のリアル体験日記

破産手続き開始の申し立て準備②

必要情報

「破産手続き開始の申し立て」に必要な情報下記の書類を弁護士から準備する様、下記の通り指示がありました。

まず、現時点での下記の情報。

  1. 現時点での現預金残高
  2. 15日の入金予定額
  3. 25日の給与額とその他の支払い額
  4. 25日までのその他の入出金予定

※なぜ、上記の情報がいるのかは下記ブログの最後の方をご覧ください。

tousantaiken.com

申し立て書類の準備

  1. 株主名簿
  2. 決算報告書の写し(過去5年分)
  3. 預金通帳の写し(過去5年分)
  4. 当座預金取引推移明細表
  5. 本店・支店・営業所の一覧表
  6. 各賃貸借契約書
  7. 原状回復費用の見積もり
  8. 就業規則
  9. 退職金規定
  10. 賃金台帳
  11. 従業員名簿
  12. 滞納公租公課を明らかにする書類(請求書、催促状等)
  13. リース契約書
  14. リース物件一覧表(リース物件の所在等)
  15. 商品一覧表
  16. 買取在庫と委託在庫の区別した一覧表
  17. 保険証券の写し
  18. 出資証券
  19. 有価証券
  20. その他の債権債務一覧表及び契約書(売買契約書、金銭消費貸借契約書等)
  21. その他の債務者一覧表及び契約書

先ずはこの書類等を集めます。

この量でも大変ですが、後に上記の書類からさらに詳しいデーター等の依頼が来ました。

重要なのは、この膨大な資料を従業員に怪しまれずに集めていく事です。

申し立て日まで日数もなく、急がなければなりません。

もちろんこのような書類は、あちこちの書庫やPC内にデーターとして事務所内で保管しています。

私の場合は、日中少しずつ、従業員が帰宅後に一気に事務所内の複合機でスキャンしそれをPCに取り込み、準備が出来た物からメールにて弁護士へ送付していました。

従業員説明会の準備

従業員は破産申し立て日の当日付で解雇通知を出す事となります。

解雇通知というのは、従業員に対して直接通告を出さなければいけません。

その為、一か所に全従業員を集め会社が破産する事によって解雇する旨の説明をする事になりました。

それと、従業員へこのような事態となった理由を会社の代表者である自分の口から直接説明する責任もあります。

遠方に支店や営業所があり、来れない場合や欠席者がいる場合は一人一人に電話で解雇通告を当日中にしなければいけません。

この精神的状況下で従業員に個別に連絡するのは非常に大変な事なので、出来る限り集まってもらい、一度で終わるようにお願いをしていきます。

私の場合は、従業員説明会の前日にまず本社勤務の幹部・各店舗の責任者に連絡し、「会社の今後について重要な説明があるので、各従業員に連絡して〇月〇日の〇時に、〇〇〇〇に集まるように連絡してください。」というような感じで社内に伝えていきました。

また、その際に事務所のカギや各店舗のつり銭など保管している金庫の鍵・その他会社から預けている物を持参するように指示も出しています。

従業員説明会終了後は会社の資産の保全の為、本社・各店舗に入れなくなるためです。

(この時点で察知している従業員もいました…。)

本社・店舗の保全

従業員説明会の準備と同時に弁護士と打ち合わせをしたのは、各事業所の‟保全”です。

従業員説明会終了後に、弁護士から裁判所へ「破産手続き開始の申し立て」を行い、各債権者へ受任通知という、弁護士が介入した旨の通知を出す事となります。

その内容は、「株式会社〇〇〇は裁判所に破産手続きの申し立てを行う事となったので、取り立てや資産の持ち出しをしないように」という忠告文みたいな文書です。

この時点で社外には一斉に知れ渡る事となります。

実はこれ、法的拘束力はなく実際はこの通知が届いた直後に、私の携帯が2日間鳴りっぱなしになりました。

各事業所の資産の保全で、事務所はカギを従業員から回収し、当日の朝、扉に上記と同じ文書を貼ります。

店舗は前日の閉店後と当日の朝にネットをまたはパーテーションを立て、誰も入れないようにしてからそこに同じように受任通知の文書を貼る事となります。

事業所数が多い為この作業は、私と弁護士事務所の職員の総動員で行いました。

現預金の確保

最重要です。

破産申し立ての通知を金融機関が把握した瞬間から、口座が凍結します。

そして、債券(借入金)と相殺されてしまいます。

その後は一切引き出しや資金移動が出来なくなります。

数日掛けて、支払いや入金に使っている預金口座から融資を受けていない金融機関への資金移動と引き出しを行い現預金の保全をします。

ここで気を付けておくのは、個人の口座もです。

連帯保証人である社長は、法人で借り入れをしている銀行の個人口座も凍結・相殺されてしまします。

私の場合、弁護士はこの事をアドバイスしてくれず、わずかな額ですが引き出しが出来なくなりました。

その後、金融機関から口座残高を借入金と相殺したことを内容証明郵便で送られてきました。

一気に残高が減ると金融機関も不振に思うので、少しずつです。

そして、前日に一気に残高を引き出しました。

定期預金も何かと理由をつけて、解約しました。

 

これで、当日の準備が出来ました。

その日に備え、後は覚悟を決めるだけです。